B−TのオフィシャルHPより。

99. 9. 28

今日は特別企画。

「市川哲史の酒呑み日記 91」

18カ月間の時空を超えた地蔵(失笑)の巻

 ども市川哲史です。どれだけの人達が憶えているか甚だ疑問ですが、そうです、「あの」酒呑み日記です。
かつて『ロッキングオンジャパン』『音楽と人』誌上を賑わせた大自虐企画が何故か、B-Tホームページで一
回だけの復活なのです。いきなり個人的な話で恐縮ですが、仕事にも人生にも絶望して姿を消した私(←すま
ん)も、まさか再びこのコラムを書く事になろうとは思いもしなかったなぁ。
憶えてる人は笑って下さい。初めての人は呆れて下さい。内臓を犠牲にしつつ「酒」に己の全てを賭けた、何
の生産性も創造性も社会性も欠落した私やアーティスト達の惨状に。
 ちなみにB-Tは、連載当初の8年前からずーっと登場し続けている「世界一の自爆者」ですが。
では、いきます。

3月24日 水曜日。麻布十番・居酒屋 →西麻布・バー(大量の感涙酒)
 夜11時から櫻井敦司と呑む。消息を断って以来、実家の八つ墓村で仙人のような生活を
してた私を救ってくれたのは、藤井麻輝やB-Tの存在だった。業界内で根も歯も無い噂や
中傷が流れる中、櫻井を始めメンバー全員が心配してくれていたとマネ賀山から聞いて、
私は本当に嬉しかったし、絶望から立ち直ろうと思った。まさか「業界一の絶望袋小路男」
に私が励まされようとは(笑)。そんな感謝を胸に逢った訳だが----君、1時間も遅刻する
かそんな感動的な再会の場面に。
 呑んでると、やはり私の安否を気遣ってくれてたJよりTEL。「お邪魔じゃなければ行って
もいいですか」。偉い。脱輪男は一般人より丁寧なのだ。
 J参入後、感謝しつつ3人で呑む。そして2軒目にJ自慢の愛車で移動(←よい子は真似しな
いでね)するが、櫻井Jの車に狂気している。そういえば今日の櫻井はタクシーで来たなあ。
昔は殺人的に呑んでも平気で運転してたのに(←よい子は真似しないでね2)。時代は変わり
ゆくものなのだなあ。
 気がつけば早朝7時。昔は毎日がこうだったわ。私の体内時計復活。くー。

3月25日 木曜日。目黒・居酒屋 →今井宅→西麻布・バー→今井宅(大爆酒)
 今夜は今井寿である。シングルの曲作りに煮詰まり続けてはや1ヵ月という状況もあって、呑み始めたのは深夜1時過ぎ。
いつも以上に言葉少なの今井に、私も作業の邪魔して悪かったなあと無口気味。 ・・・・・。 しかしそこは長年培った
酒呑み地蔵の絆、気が付けばあの「うひゃひゃひゃひゃ」笑いが飛び交っていた。今井曰く、「市川さんを暗くしちゃいけ
ないと思って黙ってました」。よけい場が沈むっつーの。
 3時過ぎ、今井宅に移動。引っ越し後初めての訪問なのだが、謎の部屋である。何故か砂利を敷きつめたコーナーがあるが、
どう見ても田舎の駐車場だ。「人に頼んだらこーんな大きい石買って来ちゃって」。今日から君を「月極今井寿」と呼ぼう。
この日はJのラジオ最終回で、今井は自宅にJを拉致しようとTELするも逆に打ち上げ宴会に呼ばれる羽目となる。行くといき
なりhide弟に号泣されながら抱きつかれるわ、懐かしい顔ばかりで私も盛り上がってしまう。ああ、酒呑み日記。
朝7時半、金髪半裸男Jと別れて我々は再び今井宅へ----おいおい、なんで泥酔しながら
『アンビリーバボー』を観てんだ俺達は。にしても、「人生初のスランプ(今井・談)」
も原因は今井の「実は気にしぃ」性格だと睨んだ私は、「やーい気にしぃ」とおちょくり
つつ鼓舞。結果、数日後名曲『BRAN-NEW LOVER』が誕生したそうで、君は私に積極的に感
謝すべきだろう---自分の事心配しろっつーのな俺も。
 気が付けば朝10時半、地蔵化した今井宅を単身脱出。外に出てみると、玄関前に駐車さ
れたB-T号の中でマネ賀山が口を空けて爆地蔵化していた。合掌。

6月27日 日曜日。新宿ロフト →同・居酒屋(めくるめく恥酒)
 19時より新宿ロフトで大槻ケンヂのトークライヴにゲスト出演。こんなところに出てて
いいのか俺は。しかし満員のお客さんの熱烈歓迎に心の中で感謝の涙を流す私に、大槻か
らの今日のお題は「失踪とは何か?」「逃亡生活ノススメ」「日本のロック業界のここが
癌だ」・・・・・・おいおい、また俺を身元不明死体にしたいのか君は。

6月30日 金曜日。千駄木・割烹居酒屋 →六本木・バー(怒涛のリバイバル酒)
 20時頃から藤井麻輝と呑んでると、マネ賀山より頻繁に二人の携帯にTELがかかる。なん
でも10月リリース予定の新曲が今日完成したらしく、その記念宴会が予定されているらし
い。「久し振りに今井君に逢いたいなー」と口では言いつつも躊躇する藤井を強引に連れて、
深夜1時頃合流する。
星野、アニイ、ユータと逢うのはいつ以来だ?でも皆やたら優しくて、またまた泣きそうに
なる。
いい奴だなあ、皆。
 それにしても、この店も本当に懐かしい。初めて来たのは今井「出所」後初インタビュー
をした時で、今井に「呑みますか」と誘われて来たら4人が全員起立して、「お仕事御苦労様
でした!」と礼----あれは『仁義なき戦い』だったのだろうか。ほとんど毎日来てたような気
がするし、横には必ず今井地蔵や機械仕掛けのように酒を無言で呑み続ける櫻井が居た気がす
る。YOSHIKIやhideも元気だった。トイレの壁には見ず知らずの素人さんに「市川さん今井さん
今度呑みましょう」と書かれていた。気が付けば朝5時半、壁の小窓から朝日が差している。何
度この光を恨めしく思ったろう。
本当に懐かしい。
8月Zilchのツアーで合体する今井と藤井だが、今井が「フジマキ君と一緒の時は目茶目茶緊張
するんです、『絶対遅刻できん』って」と白状する。藤井「え、何でですか」。今井「ソフト
バレエのライヴ観に行った時、開演前楽屋でそれまでにこやかだったフジマキ君が突然衣装が
無いとかでローディー蹴飛ばしたのを見て、ユータと二人で黙ぁーってお茶呑んでて以来『お
っかねぇー』って」。
そうだろうそうだろう。
 8時頃、今井遂に地蔵化。その隙に藤井と緊急脱出する。人は我々を「アポロ13号奇跡の生還」
と呼ぶ。

8月12日 木曜日。TELのみ。
 用事があって14時頃、マネ賀山の携帯にTELするとそこはZeppOSAKAの楽屋。Zilch本番日だった
ようだ。やがて今井が登場する。「もう毎日が夢のようで。今も酔いが全然残ってます」。出番は
アンコールだけでしかも大好きな藤井とずっと一緒なのだから、ただ愉しいだけの酒呑みシリーズ
に違いない。「今から来ますか?」。俺は岡山だっちゅーの(←死後)。

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