音楽と人 96年10月号(表紙・hide) 市川哲史の酒呑み日記74 一滴も呑んでませんが、いろいろありまして、の巻 さて先月とは裏腹に、今月は全く呑んでおりません。本誌が「恒例地獄めぐり」 お盆進行だった事も去る事ながら、洋楽CDのライナーも多数入るわ、例の JAPANトレビュート関係その後の作業もあるわ、で健康的な生活を過ごしました ―――どこが「健康的」じゃあっっ。寝かせろぉぉぉぉ。 この「酒呑み日記」なる最低のコラムが誕生したのはおよそ6年前で、 私の前職場「ロッキングオンジャパン」誌上だった。単なる酒呑みだった私に、 当時編集部に居た佐藤健(←現『CUT』編集長。元気か?)の「市川、その酒 仕事に転化すれば呑み代が経費で落ちるぞ」との甘言に乗せられて、 よっしゃと始めたのが運の尽き――35にもなって何故私はこんな哀しい 原稿を書かにゃいかんのか。当時の読者アンケートで、表紙巻頭特集よりも 人気上位になることしばしば、あれが足を洗わせてくれなかったんだよなあ。 ちなみに、渋谷陽一RO社長は自分が下戸の為に全く理解してくれず、呑み代は 経費で落ちなかったんだよなあ。あ、思い出したぞ畜生。 まるで臨終段階における走馬灯のような原稿と化しているが、じゃあいきますか。 7月18日木曜日。新宿・リキッドルーム(当然、未遂酒)。 ラヴ・アンド・ロケッツの待望の初来日公演を観る。彼らの旧譜再発時に 全ライナーを日本のミュージシャン達との対談で書いたことがあるだけに、 この日、今井寿+星野英彦+SUGIZO+藤井麻輝が来る事は 知っていた私である。夏の虫か? 入口でLUNA SEAファンの子達に「お疲れさんです!」と挨拶される。 俺は出所してきた若頭か? ロビーに行くと既にフジマキ、前日横アリ公演の SUGIZOが居る。しばらくすると前日新潟公演の今井+星野登場。 「あれ、櫻井は?」「東京に着く直前になって『ヤメる』っつって」と今井。 相変わらず「呑み堕落」生活か櫻井よ。いまいにビールを奢って貰いつつ、 会場後方で全員観る――爆発的に格好良い。各々大いに盛り上がる。 うーん、今夜は「音楽的」な意義ある集いだなあ。 終演後、「呑みますか」との今井達の誘い。私はその後打合せがあるので 後で合流という事にするが、殺到するファンの波に巻き込まれ全員散り散りになる。 終戦後の駅かここは。その後、私の携帯(電話)に今井達やフジマキから 別々に様子伺いコールが何度か入るも、結局全員各々バテてる為に呑み会は 中止――忙しい夏もたまには役に立つ。ほ(←安堵のブレス)。 7月30日火曜日。渋谷・割烹居酒屋(結構呑んじゃったな酒)。 JAPANトレビュート関係だけで取材8本もあった為に、呑まないように 早めの時間で全て設定したのは正解だったが、この日のISSAY+森岡賢対談 のみ遂に「フィーチュアリング呑み」となる。本文にもある通り、モリケンが 相変わらず「呑み会ハイ」状態となり盛り上がるが、さすがに夜10時過ぎには 散会する。 と原稿を書いてる8月8日木曜日深夜、携帯にTAKUROから(電話)。 「死ぬほど忙しいから呑みましょう」。こいつもヤケクソになってるか(虚笑)。