音楽と人 1994年9月

「市川哲史の酒呑み日記」は作者急病の為、
休載させていただきます―――と書けと言われました。(担当者)

 
なので、
「今月のあとの祭り」
 
7月7日 木曜日
 15時。乃木坂.アートプラザ1000にて、市川SCHAFT取材。
「今日は絶対呑まん!」市川は燃えていた。今井の取材は過去20回以上を
数えるが、必ず終了後爆呑みする羽目になり、その度に編集部の人間達は、
餌を運んで帰って来ない親鳥をピーチク鳴きながら待つ雛鳥と化してきた。
ROジャパン時代も今も。今日の市川は、マジで死ぬほど原稿を抱えている。
本誌が無事8月5日に店頭に並ぶかどうかの瀬戸際なのだ。と同時に、どうやら
音楽評論家業の仕事も溜め込んでるらしく、どっかの洋楽レコード会社担当者
から「今日中にライナー原稿貰わないと、アルバムが発売延期になっちゃうんですぅっ」
と悲痛なTELも入ってた気がする。
 スタジオに来るなり、ロンドン土産のピンク.フロイドのTシャツを市川に
手渡しながら、意味ありげに微笑む今井に、苦悩の表情を見せる市川だったが、
ディレクターから「今日はこの後打ち合わせですから、今井君達は」との天の御託宣!
豪雨の中を狂ったように笑いながら傘もささず走り、会社に戻る市川であった。
だがしかーし! 夜10時、TEL。夜11時、TEL。夜12時、TEL。夜1時、TEL。
夜2時、TEL。「行きゃあいいんだろ行きゃあ!」タクシー飛ばして店に到着した
夜3時の六本木、半地蔵と化してた今井が市川を見るなり「負」のように
はしゃぎまくったのは、言うまでもあるまい。うーん、飼い犬が主人に似るという
話はよく聞くが、その逆のケースもあるとは、地球の生態系はまだまだ神秘だ。
 夜4時過ぎには櫻井敦司まで登場、翌朝BJCで札幌に発たねばならぬ市川も、
遂に観念して呑みまくるのであった。ちなみに藤井麻輝は打ち合わせ終了後即座に
帰宅したらしく、几帳面な藤井と自堕落な今井という正反対な両者が、よくユニットを
組めるもんだとは関係者一同の謎なのである。
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