市川哲史の「Too Much」酒飲み日記 No.30 人間の尊厳をどっかで落っことした私達、の巻 10月17日木曜日 六本木・高級居酒屋→同・パブ→渋谷・安居酒屋 (ビール10 桂華陳酒3 チューハイ1 バーボンロック9)。 深夜2時に取材終了して、そのまますかんち田中+武内と呑む。 3時閉店で帰ろうとしたら、撮影中から半分寝てたはずの武内が 「明日からレコーディングでしばらく遊べへんから、遊ぼー(ハート)」 とコソコソ誘ってくる。私は生まれつき意志が凄く弱い。田中もソニー池谷も鹿野も帰ってしまったが、私は行く! 意気揚々とパブに入ったら、ぐおっ、B-Tが5人揃って呑んでんじゃねえか。今井が恨めしそうに言う。 「……俺が誘っても断るのにシマちゃんなら呑むんですね」。うん。 11月14日木曜日 青森・郷土料理屋→同・パブ(測定無能の酒量だが酒飲み日記じゃ並の上程度) 詩人の血ライブを観に青森に。目茶苦茶寒い。呑むしかない。それにしても食い物が異常に美味い。 中武が「いちご煮」なる摩訶不思議なメニューを頼むので、みんなで嘲笑してたら 来た物はウニがふんだんにフィーチュアされたお吸い物ではないか。 呑ませて貰うと死ぬほど美味い! 我も我もと追加オーダーする我々だったが、「精子臭い」と不遜の発言をし 「何も入ってないいちご煮ください」と言語道断の態度に出たのは辻であった。おめー岡山の恥じゃけんのう。 11月18日月曜日 渋谷・安居酒屋(ビール6 バーボンロック3) V2のTD中だったヨシキと私用で逢い、終了後軽く呑む。すでに午前4時だったので、開いてる店は居酒屋しかない。 ああ安い店だもんなあ、ツマミもしみったれてるよなあ……おいおいヨシキ、17品も同時にツマミ頼むんじゃねえっ。 「だってお腹空いてんだもおん」。何歳になったんだ何歳に。 11月20日水曜日 渋谷・地酒屋→同・パブ→同・パブII→下北沢・バー(疾風怒濤) ロージー・ロキシー・ローラー全員とすかんち小畑、武内、田中と飲む。 寺西だけ大阪ラジオ生本番の為欠席なのだが、遅れてきた小畑がいきなり寺西からのメッセージをイタコ化して伝える。 「ハーイ、僕ローリー(ハート)僕ユーノス買ったんだけど、2シーターだから一人ずつしか誘えないけど、 今度ドライヴに誘うね!待っててね(ハート)」。 そして私宛のメッセージもあって、「恨む」。元気か? 2軒目は2階のパブだった。それが墓穴を掘った。 武内が突如私の靴を掴み、窓から渋谷の雑踏に放り捨てるではないか。綺麗な放物線だった。 開放された喜びに満ち満ちた私の靴は、遠い遠い星空の彼方……馬鹿野郎! すると小畑が一目散に拾いに走り、「何すんやおまえ」と武内を叱責しつつ 「ほんまにすいませんウチの者が」と謝る。その姿を見ていたエミが、 「ウチなんか誰もフォローしてくんないもんねえ」としみじみ言う。 でも突然車道に勝手に飛び出して轢かれそうになるキワコを、同フォローしろと言うのだろうか。 ちなみに武内はその傍らで、反省の色も無く呑み狂っていたのであった。 11月25日月曜日 西麻布・バー(バーボンロック8 バーボンソーダ5) X記者会見を終えたヒデと呑む事になる。 「盛岡であれだけ呑んだのに、酒飲み日記見たら小指の先しかないんだもん。 俺毎月毎月沢山載りたいからさあ、月に6回は呑もうよ」。こいつは何考えてるんだろう。 例の酒飲み日記テーマソング“暴れ酒”に死んでも参加したいとヒデが言う。 「ギター1回鳴らすだけでいいよ。あ、叫び声だけでもいい。 ビール瓶割る音でもテーブルひっくり返す音でもいいからね。絶対だよ」。 あのー、それだと普段の姿そのままではないでしょうか。 11月27日水曜日 渋谷・バー→(信濃町ソニースタジオ)→六本木・パブ→パブII(♪はいりはいりふれはいりほーIII) B-Tクアトロ・ライブを観てISSAYと30分だけ呑み、 来月号の表紙巻頭特集の打合せに信ソでレコーディング中のすかんちを訪ねる。 打合せ中、同席してた鹿野が突然トランスして右斜め後方を上気しながら凝視しているのに気づき、 その先を見たら僅か4m先で松田聖子が電話をかけているではないか。 打合せ終了後、ティッシュを受話器に押しつけ、 後生大事に手帳に挟んで持って帰る鹿野を誰が責められようか。俺が責める! 既に時計は午前2時、慌てて打ち上げ会場に向かう私であった。 会場に一歩入った途端、ビクターの背広組に「イっちゃーん!」と歓声を上げられるわ、 桜井がいつの間にか背後に立ってて、「テツシ〜遅かったじゃなーい(ハート)」と 支離滅裂なオカマ言葉で擦り寄られるわ、何なんだこの会場は。 場繋ぎをバタイユ井上に任せておいたのだが、えーと井上は―― 大、漆黒の闇の中で女王様のように舞い上がっておられるわ。 今井がニッタラニッタラしながら、「今日はイキますよ」と目を輝かす。 ジャスティやM-AGEの連中も居る。さながら妖怪館である。 評論家の今井智子が「じゃあバトンタッチ」と言いながら、救われたような顔をして退場していく。 何だ何だ何だあ? 我に返るとM-AGEの3人を紹介されてる私である。 「いつも読んでますけど、厳しいインタビューですよねえ?」。 コーイチロー、君は何て人の好さそうな男なんだ。もう少し生意気になってもいいと思うぞ。 とすっかりカオス市川のまま、この呑み会2月号に続く。