市川哲史の「ハイスパート」酒呑み日記29 お待たせ9月後篇+交通事故リタイアの10月分、の巻 あれは10月14日未明、ヨシキ単行本のインタビューを1本原稿にしてタクシーで 帰宅の途についてたら、乗ってたタクシーが前2台に追突、私は首と腰を痛めて しまいました。衝突した瞬間はそんなに痛みも無く、運転手もピンピンしてたので、 「たいした事なくて良かったな」と思いつつ外に出たら、ボンネットが半分以上 大破してるではありませんか。この運転手はロボだったのでしょうか。 結局その現場から別に車を拾って帰ったのですが、ロボ運転手から呼び止められて 「お客さん、料金の方は?」と言われた時は、その瞬間ヨシキになって暴れてしまいました。 だがしかーし、衝突した瞬間慌てて持ってた50枚のCDが大丈夫だったかいちいち調べてた私は、 やはり阿呆だと自分でも思いました。 結果的に首はヨシキとお揃いの症例と診断され、アイツには「一蓮托生だね!」と 仲間にされる毎日です。というわけで10月はほとんど酒を呑んでませんが、許してください。 9月21日土曜日 渋谷・居酒屋→同・洋風居酒屋→(西麻布・バー)→ 渋谷・洋風居酒屋→同・居酒屋→都内・今井宅(♪はいりはいりふれはいりほー)。 デルジベット渋谷ONAIRライヴの打ち上げ会場は、例によって大盛況だ。 私は同行した井上とはぐれてしまい、いつの間にかコロムビアのお偉いさんや 二井原実のテーブルの人となる。何の打ち上げか見えなくなったが、とりあえず呑む。 2軒目に行くと、今度は光や真弓やホッピー神山、そしてストロベリー・フィールズの セイシローと一緒になる。 光とホッピーは吉川晃司のツアー仲間でもあって、その際に仕入れてきた集団ゲームを我々にも強いる。 2,3種類演ったが、要は負けた奴がイッキする事だけがその主眼だ。 提唱者のホッピーばっかやたらイッキしてるのは、自業自得という事なのだろうか。 「俺はビールが好きなんだ―っ」というホッピーの悲痛な叫びが、今も耳にこびりついて離れない。 なおこの店にはレーザー・ジュークが置かれていたのだが、ストロベリー・フィールズや 吉川晃司の曲を流しては、一同「おおホッピーが今映った!」「セイシローが画面をよぎったぞ!」 と言って虚無的な盛り上がりを連発するのであった。ああ。 この日B-Tは取材でライヴは見れなかったのだが、「夜一緒に呑みたいです」との力強い 桜井の予告があったので、とりあえず途中ISSAYを連れて抜け出し、B-Tの呑んでる西麻布に移動する。 すると5人とも「俺達が合流しますよ!」と豪語し、再び渋谷へ。 土曜深夜、しかも最も一般大衆的若者が集まるセンター街ど真ん中の、安居酒屋にB-Tが 無防備に出現してしまうという荒技だ。 マネージャーやレコード会社の人間の制止を振り切って、到着する。 「バクチクよ」「あれ桜井じゃない?」「あ、動いたわ」。店外も店内も遠巻きに騒いでる。 「久し振りですけど、こういう店のほうがやっぱり落ち着きますね」と桜井。余裕だ。 ユータが井上に向かって、「俺日本一胸触るの速いから気を付けたほうがいいですよ」と 意味不明のギャグをかます。「俺が触ると冗談じゃ済まないからなあ」と桜井。 「アッちゃんが触ると人生狂わしちゃうよ」とユータ。もう皆滅茶苦茶だ。 私も私生活で色々あって愚痴をコボすと、横のISSAYが「くるくる回ろ♪」と 袋小路美学の勧誘に来るし、正面の桜井は「自分を責めよ(はあと)」と自己否定美学の勧誘だ。 えーい、うっとおしいっ。 結局がんがん皆脱落する中、居酒屋もう一軒を経て朝8時に今井ん家辿り着いたのは、 私+今井+桜井+光+真弓+セイシロー・・・・・・だったと思う。もはや泥酔天国の記憶喪失、 最後は私と桜井と今井だ。 疲れた私が帰ろうとすると、「帰しません!」と今井が後ろからはがい締めにする。 するとその隙を突いて、桜井が玄関に走る。おい自己否定の美学っ、俺は生贄かこの野郎。 10月5日土曜日 盛岡・居酒屋(♪はいりはいりふれはいりほー2) エクスタシー出版から年末に発売されるX「ジェラシー」楽譜集用の巻頭インタビューを依頼されて、 盛岡のXライヴに出かける。運が良ければ単行本用の戦略ヨシキ・インタビューも出来そうなので、 この仕事を受けた。やたら寒いが。 そして今回は5人全員同時インタビューというX自身も1年半振りという希有な形式だ。 しかもライヴ終了後の打ち上げ会場で演るとは――嫌な予感がする。 ライヴ終了後ステージ裏を歩いてたら、偶然ステージから走り下りてきたヨシキに遭遇する。 「あ、くそじじいがこんなことろに居るぅ!」。倒れなくてもいいだろ倒れなくても。 「感動が醒めちまったい。」誰が呼んだんだ誰が。 そして案の定別件でヨシキはインタビューを欠席した。おい。 4人共「早く終わらせようよ」とうるさい。私もJAPANの取材じゃないからと、5人一丸となって 酒呑みながら豪快に話をまとめる。終了と同時にトシが帰り支度する。 「今日は取材があったから来たけど、最近は打ち上げ欠席してるんですよ。もうホテルに帰ります」 「自主謹慎みたいだなあ」「そうそう」。うーん哀しい。 パタは「腹が滅茶苦茶痛えんだよ、ライヴ途中から」と呻いてる。 「腹痛いときゃ酒呑みゃ治る。何たってアルコール消毒だかんなあ」 「そう、そう思って俺も来たの」。1時間後、いつものパタが大酒呑んでいた。 一方で私は、タイジと男と男の約束を交わす。 タイジは昔から現SHOW-YAのステファニーの熱烈ファンだったそうで、部屋にはピンナップを貼り、 髪型までステファニーと一緒にしてたと言う。ひえー。 近日中に酒呑み日記に「憧れ対談」が載る事でしょう。 しかしこれだけヘロヘロにニヤけて勝手に床にぶっ転んでるタイジの姿もまた、無気味だと思う。 そろそろ人も退き始めた丑三つ時に、突如ヨシキ合流。スタッフ絶望の溜息が、店内を重苦しく包む。 先月号で紹介した、今井寿作曲による酒呑み日記テーマソング“無限酒”制作話に、 ヨシキも死んでも参加するという。そのあげくが、「じゅあ俺B面作る!ツーバス大フューチャアの “暴れ酒”っていうの、どう?」だ。 “アート・オブ・ライフ”を完成させてから言いなさい。