JAPAN TIMES

 桜井、ISSAY,"デカダン銀恋"を唄う
10月21日リリースされるデルジベットの新作、「思春期II」のレコーディングが終了した。
前作「I」と対照的に今回は"ダウナー・サイド" アコースティックな音が予測されたわけだが、
実際にはもっと強力で「精神的」にアグレッシヴな曲が並んだ。
来月号のインタビューで詳細は明らかにするけども、
話題はB-Tの桜井敦司と今井寿のゲスト参加に尽きよう。
デカダンスの教祖とデカダンスの宣教師の共演、織田信長と徳川家康の共演である。
「デルがこね/ジベットがつきしデカダンス/世間に広めて食らうはバクチク」。うーん異様だ。
デカダン市川もスタジオに出向きましたがな。
 今井は"4D Visionのらせん階段"でギター参加。
ヒューヒュー鳴く「かもめギター」が今井っぽいが、B-Tのレコーディングでは膨大な時間を懸け
スタジオでグジグジ悩みまくるあの今井が、僅か3時間で
僅か3時間でギター録りを済ませたではないか!
「…朝9時までギター弾いて全部フレーズ決めてきましたから」。緊張地蔵だったかい。
 桜井は曲タイ未定のスローなシャンソンをISSAYとデュエットだ。
実はこの曲、デルジ超デカダン時代の1st「紫色の舞踏会」に収録されてた
日本のデカダン史上不朽の名曲"デル・ライン"以来の、ISSAY入魂のデカダン・ナンバーだ。
それを交互に唄いそして絡む、
まさに「銀座の恋の物語・デカダンス・ヴァージョン」なのである。
声質も酷似した、麗しいシャム双生児状態なのだ。
「緊張しまくりで天然ビブラートがかかっちゃいましたよ」。
桜井は昔からの熱狂的なISSAY信者で、今回の共演を死ぬ程喜んでいる。
「市川さんのお陰です」。実は共演のセッティングをしたのは、
怖い物見たさの私なのであった。
B-Tにとって他人のレコーディング参加は初体験だが、これもまたかなりのプラスになろう。
とにかく美学愛好者は聞き逃すなっ。以下酒呑み日記に続く。(市川哲史)


市川哲史の大酒呑み日記 27
福岡に飛んだ人生双六、の巻

 7月18日木曜日 渋谷・居酒屋(ビール5 チューハイ4 ウイスキーロック4)。
 朝6時から元レッド・ウォーリアーズの小川清史と呑む。私は原稿、清史はプリプロ だからっつったって朝6時だぞ6時。
早い通勤客を横目に呑み始めるも、なかなか虚しい。
清史の新バンドはとりあえずキーボードとのユニットで、他のメンツはゲスト扱いなのだが、
清史はベースを弾かずなんと「アコギとヴォーカルなんだよ」。
しゅわーっ。全く酔えない話なのであった。

 7月19日金曜日 都内・今井宅(知らん知らん)。
 清史と朝8時迄呑んで家帰って寝て昼1時には会社に出て……
人間は何故働かねばばらないのだろうか。空よ、雲よ、鳥よ、教えておくれ!
などと己の存在を唯物論的に問う暇も無く原稿をバカバカ書いてたら
今井から(電話)。締切は22日なんだよ俺はJAPANだけで50頁もあるんだよ。
抵抗してたら桜井が出た。「死ぬまでにソロアルバムを作りたい男です」。
結局原稿を1本だけ書き、「お願いです原稿原稿ーっ」と泣いて私の膝にすがる井上を足蹴にして
午前3時、今井の家に行く。既に桜井は超地蔵と化してはいたが、今井とユータはまだ元気だ。
ちっ。それでも半死状態の桜井が眼光鋭く言う。
「ヒデの記事読みましたよ。もっとビシッとブシュッと喋れっつーの、テメエの主張ぐらい。
ねえ?市川さんが怒りを堪えてんのが行間から伝わってきましたよ」
「俺は俺はもっと喋りますよ…ねえ?」。今井、己を知れ。
 朝6時頃、ローディーの小嶋に今井が自分のシムシティの人口を増やすように命じる。
28万人からどうしても増加しないらしい。
シムシティとは自分が市長になって人口50万都市を作るゲームなのだが、私は既に大市長、
小嶋にボタン操作させつつ街作りに励み始めた。
気がつけば朝10時、見事人口を42万まで増やして周りを見たら、私と小嶋以外全員地蔵と化してたのだった。
「小嶋、今日から俺のローディーになれ。幸せにしてやるぞ」「うぃース」。酒だ酒だ酒だーっ

8月8日木曜日 渋谷・居酒屋→バー(ビール10 ウイスキー1/2本 バーボンロック6 ワイン1本 繊細未確認)。
 以前からすかんちのドクター田中に懇願されてた、種ともことの呑み会が実現した。
何しろ田中は数年前からの熱狂的なファンで、アマチュア時代種の実家を電話帳で捜し出して見学に行った男だ。
デビュー後某TV番組の収録で接近遭遇したものの、他の3人が種の楽屋にずかずか入って挨拶するのを横目に、
「眩しすぎて」入り口のところに金縛りになって立ちすくんでいた男だ。
過去レコード会社、音楽編集者などいろんな人間にこの思慕の想いを打ち明けても、
「皆、「逢わせる逢わせる」と、喜ばせておいて、誰も実現してくれへん。人間不信ですわ」。
よおーし、俺に任せろ。人間は仁義礼智忠信孝梯 だあー
竹内志磨情報によると4日前にして田中の緊張は臨界点を超え、「竹内一緒に来てくれやー」と
見苦しい真似をしたものの、竹内は3日前に私と呑んだ深酒が見事に尾を引き、三日酔いで欠席となった。田中の試練である。
 緊張感の塊状態で発するギャグほど無残なものは無い。口許が無理矢理笑おうと、顔面上半分は死後硬直を起こしている。
一方、種は余裕120%で瓢瓢と呑む。引っ越したばかりの彼女が最もその感動を実感するのは、自分の洗濯機がある事だと言う。
「昔はさーコインランドリーでさー。で、その場でパンツ一枚になって全部洗ってる親父って怖いじゃん?
でもよく考えたら私も洗濯機回した後で、慌てて履いてた靴下脱いで放り込んでたし
自分の洗濯機っていいよね」。田中!話ちゃんと聞いてるか?
「僕コインランドリーです」。そうじゃないつうの。

8月15日木曜日 福岡・居酒屋→屋台(呑む呑む呑む呑む)。
 Xのライヴを観に福岡に出向く。今月号のタイジ&パタ・インタビューの前にどうしても、二人のアコースティック・セットを
観ておきたかったからだ。
しかし!何故今日に限って演んねえんだよ?明日にゃ帰らんと原稿も溜まってるし、盆だから飛行機の変更も出来んぞコラ。
憤りを抱えたまま1時間遅刻して打ち上げに行くと、トシ&ヨシキは欠席。
パタが「親父が明日も福岡に残る為に今日はアコースティックはヤメた」と意味不明の事を言えば、ヒデは「そうそう」と同意する。
既にホテルに帰ろうとするタイジに至っては、「明日じっくり呑もうね」と去っていく。おーい。
例によってパタと野球の話をしてると、10分に一度はヒデがコップを持ってやってきて、
側に座って2分間黙ーって話を聞くと、「野球の話かあ、俺全然わかんねーんだもん」と肩を落として去っていく。
繰り返す事5回、君はボイジャーかい?

8月16日金曜日 福岡・屋台バー→パブ→居酒屋→屋台(オウトテモタクサンノサケアルネ)。
 地元プロモーターさんの御尽力で、残念ながら搭乗便の変更も完了してしまった。
39度の高熱ながらホテルで原稿を書きライヴ観て打ち上げ……30歳の青春は沈む寸前の太陽に似て……てたまるか!
打ち上げ会場に向かうべくホテルのエレベーターに乗ると、中に近鉄の野茂と山崎が居た。ふふ。
早速パタに自慢して地団駄踏ませていたら、ヨシキが現れる。「クソじじい、何でこんなとこ居るの?帰ってよ」
「はいはい向こうに行って静かに呑んでなさいねこのバカ」。
タイジと小一時間シリアスに呑んだ後、移動。座敷で呑んでたら、ヨシキがマーブルチョコをぶつけてくる。(数時間経過)。
案の定、最後はヒデとパタだけになっていた。ふと見るとヒデが帰り支度してるので、
つい、「もう帰るのか?」と私が漏らしたら、「それ言われちゃあ帰れない」と抑える周囲を無視して再びビールのラッパ呑みだ。
結局私がホテルに帰ったのは6時半。15分後には空港に立発ち、7時45分の飛行機で東京に飛んだのであった。
LAでも同じような目に遭った憶えがあるのは、デジャヴか?

 8月26日月曜日 六本木・パブ(バーボンボトル2本 ビール3)。
デルジベットのレコーディングにゲスト参加した後、
予定調和のように今井に拉致され桜井と共に呑む。
会心のギターを録った筈の今井がぽつりと言う。
「デルジベットが気に入んなくてTDで音おもいっきり小さくされて、
耳澄ましたらやっと遠くの方で聞こえるぐらいになったら、
どうしましょうかねえ…」。ええい、女々しい奴め。
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