no.23

4月4日木曜日 原宿 バー→バー(バーボン17 ビール6)。 
 本人からの御要望にお応えして、慶一さんと呑む。 
高野寛も家が近所という事で途中参戦する手筈になってたのだが、 
取材が押したとの理由で敵前逃亡される。 
さすが自ら出場希望するだけあって、慶一さんのピッチは速い。 
そして親切にも、原稿が書き易いネタを次から次へと 
提供してくれるのだからベテランは偉い。 
野宮真貴と呑んでたら老親分に気に入られ、銀座の超高級クラブに連れられる。 
これから売り出す新人演歌歌手&彼女が売れなかったらもう後が無い三流作曲家と誤解されたらしい。 
あげくカラオケを強要され、松田聖子の真似を演らせたら当代一の野宮に続いて 
慶一さんも仕方無く演歌を唄ったが「ま、作曲家の先生ゆうたらこんなもんやな」と 
言い放たれたそうだ。人生難しい。  
 単行本の企画まで貰った。書籍名は「ニューロティックス―神経症患者からのラヴレター」。 
慶一さんを始め、高橋幸宏、パンタ、立花ハジメ等々の日本ロック界を代表する神経症患者が、 
各々主治医のカルテを披露しつつ自分の症例を語るという内容。笑えんなあ。 

4月9日火曜日=以下、現地時間=LA.韓国料理屋→Hクラブ→パタの部屋 
(ビール13 バーボン18 真露2本)。 
偶然同時期にベスト版のミックスでLA滞在中のSHOW-YAとメシ食いがてら呑む。 
生涯初の超時差ボケによって最初から地蔵状態の五十嵐が不気味だ。 
だってあの五十嵐がビール1本しか飲まないのだから、 
天変地異の前兆と言われても否定は出来まい。 
「もう1軒」とのマネージャーの誘いに乗って、ダウンタウンに移動――しかし 
車中の空気がどうも変だ。「市川さん、レスリング得意?」 
中村が嬉しそうに訪ねる。ほえ。で着いた店が「トロピカーナ」。 
身分証明書代わりにパスポートを見せて中に入ると、うわあ紐みたいな水着や 
下着の外人お姉ちゃんばっか! チップを1$払うとほぼ全裸状態の姉ちゃんが 
膝の上に乗っかって、超豊満な乳房を顔にこすりつけ耳にキスしながら 
抱きしめてくれるという不気味な店なのだ。 
25$以上払うと泥レスまで出来ちゃうという――中村の謎の微笑みの 
正体はこれかあ。しばらくすると、別にチップ払ってないのに 
ブロンド姉ちゃんが私に抱きついてくる。ぶふ、こりゃえーわ。 
と喜びつつも冷静な顔を作って後ろのSHOW-YAを見たら、 
4人共ニヤニヤ笑ってやがる。誰だあ、無断で1$払った奴は!? 
 彼女達と別れた後、夜12時過ぎにパタの部屋を訪ねる。 
「全財産投げうって」2百万円で買った59年レスポールを 
さり気に自慢するパタは、全然変わってない。 
やがて日本から送って貰ったという「珍プレー好プレー」のVTRを観ながら、 
今年の巨人を二人で真剣に検討した。パタは後楽園球場のライトスタンドで、 
メガホン鳴らして応援歌唄ってた巨人狂だった事が判明した。 
居る居るこういう顔の奴。無論私も巨人狂であるからして、 
8.23東京ドームの日は一緒に朝11時に会場入りして、巨人の帽子被って 
一塁側ベンチの前でキャッチボールする事に決めた。 
ちなみに帰国後の私は、毎日パタに巨人戦の結果をFAXしてやっている。 

4月12日金曜日 LA.X滞在アパートメントの居間(バーボン1本)。 
 取材終了後、ヒデと呑む。電話であれだけ「酒呑み日記in LAしよっ」と 
言ってたにも拘らず、外に呑みに行く暇が無い。地味にずるずる呑んでたら、 
予定時刻を遅れる事2時間、本誌の撮影に向かう筈のヨシキが 
ヘラヘラ笑いながらやって来て、「じゃ、おやすみ!」と 
部屋に戻ろうとしやがる。 
後ろから首締めたろかと私が立ち上がると、 
ヒデが言った。「おやすみ!タクシー呼んどくからねー」。 
ありがとうヒデ。 

4月13日土曜日 LA.スポーティング バー(ビール1 バーボン8)。 
 昼間のTVの仕事でインタヴューしたSHOW-YAと、夜呑む事になった。 
ホテルでうとうとしてたら10時ごろにロビーからtel。 
降りてくと五十嵐&中村が何と!可愛らしいワンピース姿で居るではないか。 
「二人とも今日買ったばっかりなんだけど、日本じゃなかなか市川さんに 
見せられないと思って」。ありがとうございます。 
一緒に地下のスポーティング バーなる不気味な店に行く。 
「ヘルシーな呑み屋」で評判らしいのだが、そんなロジカル不条理が 
この世に存在してよいのだろうか。旺盛な好奇心で中に入ると、 
ビリヤードとバスケットゲームとサッカーゲームがあって、 
モニターTVでホッケーの試合を流してるだけ。 
更には扉のノブがバットになってるだけじゃねえか! 
これを健康的だと思ってしまえる米国人って、やっぱり偉いと思う。 
日本が負けたのも当たり前か。 
 五十嵐が言う。「本当は誕生日プレゼントとしてホテルの部屋に 
出前ストリッパーを皆で呼んであげようと思ってたの、150$で。 
予約が一杯で駄目だったんだけど」。そんなもん来たら、 
上から乗っかってましたぜ私。この前チップ払ったのはアンタだな? 
 結局頂いた誕生日プレゼントは、ダニエルのポケット瓶でした。 
どうせ私は生涯一酒呑みでございます。はい。 

4月14日日曜日 LA.タイジの部屋→ヨシキの部屋 
(ビール30 バーボン1本)。 
 タイジという男は真面目である。部屋に行くと、 
飼い猫まで居るではないか。クソ暑いのに暖炉を燃やすのだけは 
ヤメて欲しいけども。 
呑んでたら「せっかく市川さん来てくれたんだから、 
記念撮影しよう」と言い出し、タイジの友達がビデオを撮り始める。 
「何考えてんだよ」と言いながら、 
カメラの前で芸をしてる自分が少し哀しかった。 
 その後ヨシキの撮影現場に行き、 
終了した夜3時からヨシキの部屋で取材。 
そのまま「大」酒呑みに突入する。それにしても豪華な部屋だ。 
ヨシキが10万円で現地購入した黒革張りのソファーを自慢する。 
確かにお買い得だ。しかしレコーディング終わったらどうすんだろ。 
「持って帰るよ。輸送費に40万かかるけど。俺って馬鹿かなあ」。うん。 
 やがて両者共べろんべろんに酔っ払い、気がつくと朝10時である。 
帰りの飛行機まであと3時間半しかない! 
「このままレコーディング終わる迄居てよ」。おーい。 
そう言えばタイジも同じ事言ってたなあ。結局親切なヨシキは、 
荷物をホテルに取りに帰る私を送ってくれた。 
「空港まで見送りに行く」と言うので、 
部屋に戻って慌ててパッケージして下に降りると、 
ヨシキの姿は何処にも無かった。あのなあ。 
ちなみに15日のヨシキは二日酔いで 
何も出来なかったという。ざまあみろ。 

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