「BT8992」内「酒呑み日記+取材場外乱闘抜粋」
(91年3月号前後?)

12月14日金曜日 取材(六本木スタジオ)

12・13日と今回B-T武道館2DAYSだった。13日は命より大切なプロレスがあるので、私は12日を観た。
終了後楽屋に顔を出す。「明日もライヴだから今夜は呑んだりしないだろう」と余裕で早々に
立ち去ろうとしたら、今井が「ちょっとだけ例のあそこで」。ああ常識が通用しない。横で星野も
「俺も俺も」とジェスチャーしてる。はいはい。3時間後、先に到着して呑んでたら来た来た来た。
しかも5人共。ライヴ中は節制して絶対呑まないハズの櫻井が、初代大酒呑み王座の名に相応しく
グビグビ呑んでるではないか。「明日大丈夫か?」「もう俺はね、自分の本能のままに生きる事に
したんですよ。」うわ、目が座ってら。呑むほどに、ステージ上のモニターが各々如何に我儘で
うるさいか、との罵り合いになってきた。今井と星野は自分の音しか聴いてないとか、星野の音が
デカ過ぎてユータが迷惑してるとか。「よし、じゃ明日リハに俺行くから、実際聞いて誰が極悪人か
審判してやる!」「絶対来てくださいよ」。

そして翌日、私は武道館のステージに立っていた。武道館に立った音楽評論家なんて、私ぐらいじゃ
なかろうか――自分の尻軽さを反省しながら感慨に浸っていると、皆ニヤニヤしながら「俺んとこの
聴いて下さいよ」と誘ってくる。げげ、星野のも今井のも互いのギターの音が全く聴こえないわ。
櫻井のはリズムと歌だけで、ギターは一切削除されてる。そりゃあんな変な音ばっか聴きながら唄えん
わな。ユータのは星野のが邪魔で満足に聴こえない。まともに全員の音聴いてるのはアニイだけだ。
おまえら自分の事しか考えてないんじゃないかあ? と納得しつつ私はプロレスへ。しかし深夜2時、
会社に今井から電話。「今日のライヴ観なくてもいいから、二次会来て下さい。」ぐぎゃぐぎゃぐぎゃ。

例によって早朝まで呑み続け、14日の夜7時、取材現場で14時間振りに再会した私と櫻井は、言う
迄もなく単なる三日酔いのボロ雑巾男と化してたのだった。そして二人の脳裏に共通して浮かんでた
のは、「終わったら絶対電話して下さいね」という今井からの熱烈メッセージであった。あほ。
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