1990年1月号(表紙今井寿)酒呑み日記6
さよならシャケ、の巻
 11月9日木曜日 渋谷・割烹呑み屋
(ピール11 バーボンロック5 チューハイ3 不明多)
 6日後には米国の住人になってしまうシャケを偲んで、急遽呑む。
西海岸の某所に既に居を構えているのだが、現在西海岸は全世界のロッカーの憧れの地だ。
シャケの住むアパートのみならず町内の住人全員がメタルらしい。
デニーズでメシ食ってるのもスーパーでワゴン押して買物しているのも、
とにかく店内中の客全員が見事にメタル――鮮やかな光景だ。
シャケも埋没してしまうのだろうか。
 酒を呑み続けていたら突然シャケがシャツを脱ぎ、妙に左腕を私の方に投げ出してくる。
故意に無視し続けたが、実は最近入れ墨を彫ったのだ。仕方ないので20分程して
気づいたフリをしたら、「あ、わかるう?」と満面笑みを浮かべる。
わかるっつーの。 ご丁寧に文字は“CASINODRIVE”。
「やっぱ俺の原点はコレなんだよね。感動的でしょ?」
おおシャケの瞳が星飛雄馬になった。
 ここでデルジベットのISSAY乱入。レッド1st製作中、やっとTD初日を迎えて
シャケは事務所の社長と口論、「俺レッド辞める」と吐き捨てて、夜の新宿を徘徊した。
「レベッカに続いて2度目だ」。傷心のまま何気なく(電話)したのがISSAYの家。
そのままお泊りである。二人共貧乏暮らし、なけなしの金で買ったのがISSAYは缶ビール、
そしてシャケはワインとかっぱえびせんだ。「オツマミの王様だよね」
と言い訳しつつ、やはりワインだけは買ってしまう。
そんなシャケを私はやはり一本気な夢見る少年だと思う。
部屋探しに渡米した際に、かつてノッコと二人でアルバイトした店や、
ノッコまで意味無くぐるぐるジョギングして待ってた店の廻りの道を、
期待通りシャケは数年振りに訪れていた。いつまでも今のままで居てね。

ついでに場外乱闘
今井寿 11・29 都ホテル
2日に分離して行われた撮影、インタヴュー共、終了後は大酒呑み日記と化した。
1撮影篇。びしびし呑んでいると突如テーブルの上に産地直送の大生ガキがずらっと勇姿を見せた。
今井君と二人で喜々として食ってると、横に居たビクターの新入社員が
「ボク昔生ガキを食べて食中毒になって新聞載ったんですよね――」と囁く。
箸を投げ出した私の隣りで、今井君がぽつりと言った。
「俺も載った」おいおい。
2 2万字篇。深夜2時に無事終了したら、「他のメンバーが六本木で待ってますから」
と誘われて同行。とある怪しげなバーに連れられて入ったところ、桜井敦司以下
4名が立ち上がって迎えてくれたのだ。「2万字お疲れさんです!」。
集会ですかアンタらは。

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