ROCKIN'ON JAPAN 1989年9月号
市川哲史の酒呑み日記 2
下山淳とちわきまゆみ、(その他乱入者達)の巻

 7月16日日曜日 下北沢・和食バー→ロック酒場→阿佐ヶ谷・下山宅。
(バーボンのボトル2 ショット11 酎ハイ6 ビール4)
 本連載を始めていきなり肝臓肥大が発覚、早くも連載存続が
危ぶまれる。重い肝臓を両手で支えつつ、ちわき・下山と約束
した渋公に向かう。大胆にも待ち合わせ場所は、渋公でライブ
演ってるプライベーツの楽屋!これ以上の安全確実明解な
スポットが、渋谷にあるだろうか。延原すまん。
 下山の我儘でなぜか11時まで駄菓子屋をハシゴする。途中ちわきは
何度何度もサインや握手を求められるが、下山には誰も来ない来ない
来ない。酒がマッハの速さで進む。ふと見ると、下山の首にミミズ
腫れになった網目が走ってるのだ。「新妻がSM趣味なの?」
ちわきの本領発揮か。真相は――穴井の前のベースで消息不明だった
柞山に突如呼び出され、駅まで自転車で全力疾走していた。
前方を見ると、童顔・無口・対人恐怖症の、どっから眺めても柞山が
なんと剃髪してスキンヘッズになってるのだから仰天。
下山はそのまま自転車置場に突っ込み、ロープに首を締められたの
だった。「今度こそ正真正銘のパンクスになったでしょ」と嬉しそうな
柞山の青光りする頭に、下山夫婦が油性マジックで全面落書きを
施したのは言うまでもない。彼はそのまま、翌朝ビルの窓拭きに出勤した。
 ちわきのXマス・ライブにわざわざギターを新調し、
サンタクロースの仮装までして登場したものの、最初の一発で弦が
見事に切れてしまい、それ以降呆けて立ちつくすだけだったホッピー神山
の話も涙を誘うが。
 その後デルジベットが3名乱入し、下山は通行人のOLを変質者ノリで
追い回し、混迷のまま私とISSAYは下山邸で朝7時まで呑んでいた。
「もう帰るわ」「泊まってけよお」アンタは何が寂しいの?
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